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◆ 風花 ◆ 風花の本降りとなるどんど焼 堀口星眠 風花や夕枯櫟(くぬぎ)たゞよはす 森 澄雄 天上に還らんとする風花あり 沢木欣一 風花や市に箸売る能登乙女 山田春生 風花や鏡の奥に子供の手 皆吉 司 風花や町に売りだす桜肉 菅原多つを 風花やプレハブ校舎の笑い声 三浦北曲 風花や遮断機ひとつの国境 八巻絹子 捨て人形風花に眼をひらきゐる 能村登四郎 風花の華やかに舞ひ町淋し 松本たかし 風花の遊ぶや奈良の刃物店 沢木欣一 風花す父のやさしさ極まれば 山田みづえ 風花やわが掌染めたる夕日影 石田波郷 風花の仕事始の薪を割る 高浜虚子 風花にたえず寒天干し返し 寺島美園 風花や明治を誇る湯治宿 木内はるえ 風花や言葉交さぬ別れあり 松田淳子 子の心見えてとどかず風花す 岡田和子 風花に紺のまひとぶ染場かな 石橋秀野 繭玉に恵那の風花市ひらく 水谷晴光 風花や杭にあらがふ糶の牛 新家豊子 風花や湖紺青に凪ぎわたる 木下ふみ子 風花や列柱なせる義士の墓 三浦誠子 ねんねこの手が風花を受けてをり 佐々木六戈 風花といふ華やぎを髪に受く 新明セツ子 風花の眉にとどまる齢かな 戸川稲村 風花は火山のあいさつ仔牛跳ね 村上一葉子 ◆ 氷る 凍る C ◆ 氷る夜の灯かゝげし産井かな 西島麦南 http://pixio.jp/svzTUbPI/ewBjDgUAS.jpg http://pixio.jp/svzTUbPI/ ▲一句画像▼選句画像 ※産井 さんい? 産小屋 河凍てしことを確かむ石飛礫 対馬康子 ※飛礫 礫 つぶて 泥濘の凍てゝかたさや蹄あと 西山泊雲 ※泥濘 ぬかるみ ※蹄 ひづめ 泳ぎ来る鯉にさゞなみ凍るかも 渡邊水巴 流し来て氷る瀬隈や谷筏 岡本癖三酔 流木を咥へて凍る波ころし 大島民郎 浪の華とき〜舞ひて荒磯凍つ 雁択水 水の自在わづかに許し滝氷る 佐野美智 水底へ幹立ち上り山凍つる 大岳水一路 氷る日の灯ともす電車かよひをり 飴山 實 氷る河わたる車室の裡白む 山口誓子 氷る湖の温泉おつるところ舟囲ふ 木村蕪城 氷る燈の油うかがふ鼠かな 与謝蕪村 月凍てて千曲犀川あふところ 福田蓼汀 染汁の紫氷る小溝かな 正岡子規 木の股に雪塊凍てて暮れんとす 福田蓼汀 枯芦や朝日に氷る鮠(はや)の顔 広瀬惟然 梅が香や朝々氷る花の陰 千代尼 機鑵車の蒸気が凍てる月明り 飯田蛇笏 水に落し椿の氷る余寒哉 高井几董 托鉢の鉢に凍てつく指はがす 鈴木貞雄 日雀ゐて石の髄まで凍ててをり 加藤楸邨 旬日を一日のごと崖氷る 下村槐太 明日あたりかならず凍る滝に立つ 能村登四郎 明日のもの凍てて自在にかかりをり 木村蕪城 暁の畳の凍てて座禅堂 田中南耕 月の暈網代の上に氷るらん 有山江南 ※網代 あじろ 漁の仕掛け 氷る畦ゆるゝと見るや鶇居り 水原秋櫻子 ※鶫 つぐみ
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