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◆躑躅 つつじ◆ 345》植物 うつうつと大嶽の昼躑躅さく 飯田蛇笏 こまがりに刈り残されて山つつじ 正岡子規 つつじ多き田舎の寺や花御堂 正岡子規 つつじ燃ゆ海の夕日の惜しみなく 枡田国市 なほ咲いてうつる躑躅や金魚池 大橋櫻坡子 二の丸をいま攻めのぼる火の躑躅 伊藤孝一 分け行けば躑躅の花粉袖にあり 高浜虚子 噴煙に圧され手をつく鬼つつじ 長谷川かな女 塔見えて躑躅燃えたつ山路かな 阿波野青畝 大岩に挿したるごとく岩つつじ 鈴木貞雄 大巌の襞裂けたるに山躑躅 水原秋櫻子 尼寺や卯月八日の白躑躅 飯田蛇笏 山つつじ照る只中に田を墾く 飯田龍太 山潰えの土とゞめ咲く躑躅かな 大橋櫻坡子 ※山潰え(やまついえ=山頂) 岡持が干され都心の夕つつじ 木村蕪城 工場の躑躅粘液出して煤とらう 田川飛旅子 庭芝に小みちまはりぬ花つつじ 芥川龍之介 春愁のかぎりを躑躅燃えにけり 水原秋櫻子 月前や四月八日の白つつじ 飯田蛇笏 松や竹みどりの中に木瓜つつじ 上島鬼貫 植松やそのやどり木の山つつじ 野澤凡兆 温泉山みち凝る雲みえて躑躅咲く 飯田蛇笏 湖を象り燃ゆる山躑躅 堀北久子 牧牛の真昼ちらばり山躑躅 石橋辰之助 独り尼藁屋すげなし白躑躅 松尾芭蕉 王女迎ふ躑躅紅紫の蘭館址 下村ひろし 癈城の膓見えて躑躅かな 小杉余子 白つつじ小さきはたごに夕べ来ぬ 阿部みどり女 盛りなる花曼陀羅の躑躅かな 高浜虚子 真つ白き船の浮める躑躅かな 中村汀女 石橋をつゝみて燃ゆる躑躅かな 野村喜舟 碑を溢る愛と祈りの躑躅園 下村ひろし 紅つつじ花満ちて葉はかくれけり 日野草城 絶ゆるなき躑躅みし眼を富士に冷ます 渡邊水巴 苗代や端山の躑躅復た赤く 尾崎迷堂 襟にさす躑躅哲学の徒にあらず 長谷川かな女 躑躅さく谷やさくらのちり所 横井也有 躑躅咲く奥もつつじや仁田峠 増田富子 躑躅濃し雲の高さを下り来れば 野見山朱鳥 躑躅生けてその陰に干鱈割く女 松尾芭蕉 近道へ出てうれし野の躑躅かな 與謝蕪村 這ひ渡る蟻に躑躅は花ばかり 中村汀女 遊船に崖かぶさりし躑躅かな 長谷川零餘子 ◆ こでまり ◆ 45春》植物 こでまりに上衣の彩をうつし行く 長谷川かな女 こでまりに根風の見えて雨近し 高井北杜 こでまりに雨降らば降れ濡るるべし 成瀬桜桃子 こでまりのたのしき枝のゆれどほし 轡田 進 こでまりの千のこまりの子の忌かな 本宮鼎三 こでまりの愁ふる雨となりにけり 安住 敦 こでまりの枝より透けて遠筑波 角川春樹 こでまりの花さき種痘よくつきぬ 金子伊昔紅 こでまりの花に眠くてならぬ犬 辻田克巳 こでまりの花のりかぬる寒さかな 八木林之介 こでまりの花咲き吾子が駈け戻る 大町 糺 こでまりの鉢買ふ提げるには長し 中村ふみ こでまりの風を離さず弾みゐる 八幡より子 こでまりは白し子の髪剪り揃う 相葉有流 こでまりやおんなごころを描くごとし 板垣鋭太郎 こでまりやこの忌のいつも雨を呼び 鈴木真砂女 こでまりやその八重毬の虻の昼 木津柳芽 こでまりや帯解き了へし息深く 岡本 眸 こでまりや床屋の裏の文士邸 赤沼登喜男 こでまりや盃軽くして昼の酒 波多野爽波 こでまりや耐ふるかぎりの雨ふくませ 前田しげ子 大でまり小でまり佐渡は美しき 高濱虚子 大でまり小でまり垣に鬼子母神 好本昌子 子沢山こでまりに風弾みゐる 藤田シゲ子 小でまりの一花づゝを賀の膳に 高野素十 小でまりの供華の仏に娘もをりて 加藤武夫 小でまりの愁ふる雨となりにけり 安住 敦 小でまりの花に風いで来りけり 久保田万太郎 小でまりや裏戸より訪ふことに馴れ 高濱年尾 小でまりを活けたる籠も佳かりけり 楠目橙黄子 心無垢の日もあり小でまり大でまり 名取思郷 急病の人こでまりの花かげに 岸本尚毅 池に降る雨こでまりを濡らす雨 岸風三楼
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