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◆ 五月雨 ◆ 6》天文 …さみだれ/さつきあめ 五月雨をあつめて早し最上川 松尾芭蕉 三井寺や湖濛々と五月雨 正岡子規 閉山の赤旗を焼く五月雨 宮下邦夫 五月雨や灯して透明エレベーター 長崎小夜子 五月雨や鉄の匂ひの歩道橋 下山宏子 五月雨や起きあがりたる根無草 村上鬼城 五月雨や蕗浸しある山の湖 渡辺水巴 五月雨や上野の山も見飽きたり 正岡子規 五月雨や雲の中なる山くづれ 吉田冬葉 五月雨に一つ淋しや水馬 水原秋櫻子 眼を病んで灯ともさぬ夜や五月雨 夏目漱石 五月雨や仏の花を捨に出る 与謝蕪村 五月雨や田中に動く人一人 大島蓼太 五月雨に胡桃かたまる山路かな 園女 五月雨や兄の形見の老の杖 滝 青佳 亡き父の蓑で水見や五月雨 石島雉子郎 葛城やあやめもわかぬ五月雨 松瀬青々 五月雨や怒壽常住室戸岬 松根東洋城 五月雨や湯に通ひ行く旅役者 川端康成 昏々と病者のねむる五月雨 飯田蛇笏 五月雨に鳰の浮巣を見に行む 松尾芭蕉 五月雨や鴉草ふむ水の中 河東碧梧桐 五月雨の降残してや光堂 松尾芭蕉 五月雨や色紙へぎたる壁の跡 松尾芭蕉 傘さして港内漕ぐや五月雨 前田普羅 五月雨大井の橋はなかりけり 正岡子規 五月雨や二階住居の草の花 小林一茶 五月雨やある夜ひそかに松の月 大島蓼太 五月雨花のたえまを降りにけり 久保田万太郎 五月雨や根を洗はるゝ屋根の草 寺田寅彦 五月雨の町掘りかへす工事かな 寺田寅彦 五月雨や寫し物する北の窓 寺田寅彦 磯はたや蟹木に上る五月雨 森鴎外 五月雨や玉菜買ひ去る人暗し 芥川龍之介 船頭も饂飩打つなり五月雨 泉鏡花 五月雨や尾を出しさうな石どうろ 泉鏡花 五月雨や天水桶のかきつばた 小林一茶(56) 五月雨やももだち高く来る人 夏目漱石(42) 畳売つて出られよ旅へ五月雨 浜田酒堂 五月雨に隠れぬものや瀬田の橋 松尾芭蕉 五月雨の空吹き落せ大井川 松尾芭蕉 五月雨の音を聞わくひとり哉 加舎白雄 五月雨にぬれてやあかき花柘榴 志田野坡 五月雨に田よりも径の光りけり 関塚康夫 空も地もひとつになりぬ五月雨 杉山杉風 湖の水まさりけり五月雨 向井去来 五月雨や棹もて鯰うつといふ 泉鏡花 五月雨が侘びよ寂びよと降りをれり 相生垣瓜人 五月雨をあつめてすずし最上川 松尾芭蕉 五月雨の遥かに吾をぶちのめす 各務麓至 傘持つて傘さしゆくや五月雨 会津八一 馬鹿びきの出でゝかへらず五月雨るゝ 幸田露伴 五月雨の島々を見て船は航く 高浜虚子 五月雨に家ふり捨てなめくじり 野沢凡兆 ※捨てて 降うちに降出す音や五月雨 玉束 渓橋に傘さして佇つや五月雨 飯田蛇笏 蟲けらの壁からも出る五月雨 富田木歩 五月雨に鶴の足短くなれり 松尾芭蕉 行燈で来る夜送る夜五月雨 服部嵐雪 五月雨や淀の小橋は水行灯 井原西鶴 五月雨や古家とき賣る町外れ 井上井月 さみだれのあまだればかり浮御堂 阿波野青畝 さみだれや大河を前に家二軒 与謝蕪村 さみだるゝ軒の重さよほどきもの 及川 貞 石人に吾に一日さみだるゝ 工藤信子
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