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◆ 梅雨出水 出水◆ 67》地理 木曽川の出水を見んと着たる蓑 松本たかし 病んで夢む天の川より出水かな 夏目漱石 大井川梅雨の出水を汽車で越す 品川鈴子 木の奥を立ち上りくる出水かな 山本洋子 また出水をおそるゝ雨となりにけり 久保田万太郎 峡の家夜すがら灯す出水かな 芝不器男 桑原に登校舟つく出水かな 芝不器男 溝そばに出水汚れの残りをり 五十嵐播水 輪中村囲みて濁る梅雨出水 松井利彦 出水後の備前の土のにほひける 矢島渚男 梅雨出水簗の緊張つづくかな 大橋敦子 ※簗=やな、川魚を採る組み竹の仕掛け 出水や牛引き出づる真暗闇 村上鬼城 まぎれなき出水の上の鴉の巣 宮岡計次 一村の墓流したる出水かな 加藤斐子 仲々に引かぬ出水の上を蝶 秋畑まきこ 各戸一炉出水に映る灯もありて 堀 葦男 草のさき出でて吹かるる梅雨出水 山上樹実雄 今日晴れて布ひるがへす出水跡 林 翔 淋しさや出水の岡の蕎麦の花 高浜虚子 露草や出水がなせる江のほとり 水原秋桜子 出水引く中州の草の先見えて 大塚とめ子 山径の礫あたらしき出水あと 田原央子 白日に出水の泥の亀裂かな 沢木欣一 田の上を小舟行くなり梅雨出水 青木月斗 着流しの男見に来し出水川 松村幸代 梅雨出水暗きところに橋かかる 秋篠光広 夏出水ピカソがそつと泣くことも 鷲田 環 橋脚に水引つ掛かる出水川 山口誓子 峡の田を沢蟹はしる出水あと 太田蓁樹 出水して鹿火屋を仮の家とせり 本宮鼎三 ※鹿火屋=かびや/農家の番小屋 ひらひらと真菰悲しき出水中 高野素十 ※真菰=まこも 蘆(アシ)より丈のある河原植物/季語は、菰の花・花真菰で秋 梅雨出水流るゝものに蛇からみ 松浦真青 日のさして力みなぎる出水川 石井健作 出水して森の奥なる月明り 中川宋淵 出水後の蘆色もどる泳ぎかな 中村汀女 出水の加茂に橋なし夏祓へ 与謝蕪村 ※夏祓=なつばらえ/夏越しのお祓い わが庭のノアの洪水梅雨出水 大中祥生 出水川とどろく雲の絶間かな 飯田蛇笏 山々がまさをに囲む出水川 相馬遷子 生徒率ゐ尼も出水の土嚢積む 保田白帆子 玉葱の流れて来るや出水川 岸本尚毅 橋脚にかかれるものも出水跡 西村和子 星出でてまたたきも無き出水かな 岸本尚毅
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